京都のおせち

お正月におせち料理を戴くというのは、日本ならではの伝統的な食文化。普段とはまた違った、あらたまった気持ちで新年独自のお料理を食べる機会に、日本人であることの誇りさえ感じられます。

 

おせち料理は元々に日本の伝統的なものですから、和をベースとしたものとなるのですが、最近では、フレンチおせち、イタリアンおせち、中華おせちといった趣向を凝らしたおせちも一部で人気があります。しかし、せっかくの一年に一度の晴れの日本文化を祝う機会ですから、やはり日本の伝統を重んじた和風おせちを戴きたいものです。

 

その中でも歴史と伝統ある京都の和風おせちは是非試してみたいおせち料理と言っていいでしょう。日本人のみならず、外国人も日本の伝統と歴史を感じることができる日本の名所といえば、京都です。その京都ではぐくまれた食文化もまた、日本が誇るべき歴史的財産とえいるでしょう。

 

日本人である私達が、日本人であることをあらためて実感する喜びを与えてくれる、日本の食文化。お正月に戴く京都のおせち料理は、素材の味を最大限に引き出すその繊細な味付けの技術と、美しさをを追求した盛り付けが特徴の京都の食文化を体験する、素敵な機会となるでしょう。京都の老舗料亭が作るおせち料理は、その真骨頂を味わうことができるかと思います。

 

京都の有名老舗料亭・日本料理店である、たん熊北店、下鴨茶寮、美濃吉、濱登久などでも、お重に詰めたおせち料理を毎年予約販売をしています。これら老舗料亭にお正月に行って、おせち料理をいただくということは、現実的にほぼ不可能であったりします。老舗料亭では、一見さんお断りであったり、お正月時期の予約はほぼ無理と考えていいでしょう。

 

では、お正月にたん熊北店、下鴨茶寮などといった京都老舗料亭のおせちを戴くにはどうしたらよいかといいますと、百貨店などのオンラインショップを利用するという方法があります。高島屋や三越、伊勢丹などをはじめとするデパートでは、おせちの予約販売を実施しています。その中でも、京都の料亭おせちというのは、人気のおせちとなっています。

 

デパートによって、どこの京都料亭のおせちを取り扱っているかの違いがあります。多くの百貨店で扱っているお店もあれば、ごく限られた百貨店でしか入手できないお店のおせちもあったりします。また、おせち料理は生ものですので、配送できる範囲は限られてはいます(冷凍おせちは全国配送)。

 

百貨店によって、配送可能地域が異なったりもします。関東の百貨店は関東地方に強く、関西メインの百貨店は関西圏のみの配送、全国有名百貨店は、配送可能地域が多いなどとなっています。あなたのお住まいの地域が、配送可能な地域かを、ぜひ各百貨店の公式サイトでチェックされるかとよいかと思います。

 

京都料亭おせちの多くは、生おせちとなるため、数に限りがあります。人気の非常に高いおせちは、予約販売期間終了前に完売になることも珍しくありませんので、早めに予約を済ませておく必要がある場合もあります。来たるお正月は、是非日本文化の伝統を感じられる食文化で、ご家族で素敵なときを一緒に過ごしていただければと願っております。

 

一番人気の京都料亭おせちは「たん熊」

高瀬川河畔、京花街の趣を色濃く残した街並みの中に、京料理の神様といわれた栗栖熊三郎氏が包丁一本で暖簾を上げた店「たん熊」はあります。

 

南北に先斗町と平行して流れる高瀬川、流れに沿うようにして江戸時代から多くの生洲料理屋が店を出してきました。現在も鰻やモロコ、ごり、鮎などの川魚を扱う川魚生簀料理屋が多く点在しています。生簀から水を弾いて泳いぐ鮎などを引き上げ、そのまま料理して客に提供したことが、生簀料理屋のはじまりです。

 

現在に至るまで、高瀬川河畔には川とともに暮らしてきた京都庶民の風情が残されています。花街(かがい)にも近く、その風情は色っぽさや凛とした空気感とも重なります。初代栗栖熊三郎氏の時代、花街で芸者遊びをする旦那衆は味に関しても相当のこだわりと鋭い感覚を持ち合わせていました。洗練をよしとする高瀬川界隈で、栗栖熊三郎氏は料理の腕に磨きをかけてきました。京料理界の神様とまでいわしめる日本料理界の巨匠としてその名と逸話は現在にまで語り継がれています。

 

かつて「たん熊」の店の奥には、お客専用の風呂がありました。亭主である栗栖熊三郎氏が自ら薪をくべて風呂を沸かし、客人をもてなしていました。これは「たん熊」が茶懐石の流れを汲む料亭であることを意味しています。その昔、茶道の世界では亭主が薪をくべて風呂を沸かし、お客をもてなしました。現在と違って、昔の風呂は沸かすのにも一苦労でした。この苦労にこそ、おもてなしの真髄があります。

 

京料理の真髄は、このおもてなしの心にあるのだという初代栗栖熊三郎氏の料理哲学を、「たん熊」では現在まで大切に受け継いでいます。

 

「たん熊」ではカウンターを挟んでもてなす場合、対面するお客との間合いをつかむことが一番重要であると教えます。お客のペースにあわせて1品ずつ料理をお出しする。タイミングは早すぎてもいけない、遅くてもいけない。それが間合いです。魚に包丁を入れるのも間合いです。間合いを見極めないで包丁を入れると魚を殺してしまう。包丁さばきが映えるという言葉はそこからきています。

 

包丁さばきは旬の素材を見立てる眼力を養うことにも繋がります。魚の仕入れは板前が直接七条の中央市場に出向いておこないます。魚だけでなく、野菜などの仕入れも板前が直接おこなってます。

 

「たん熊」と他の日本料理店との違いを述べるには「すっぽん料理」を例にとるとよくわかります。「たん熊」の楽焼のまる土鍋で出される「すっぽん料理」は一見したところ無骨です。しかしそこには「すっぽん」の旨みと滋養を最大限に引き出す工夫が盛り込まれています。蓄熱性の高い厚みのある楽焼の土鍋はすっぽんの出汁を一緒に炊く葱や豆腐にじんわりと浸透させます。「たん熊」の「すっぽん料理」は体に良い滋養と旨みを引き出すことを第一に考えています。